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執筆者の写真豆松店長

2022年5月のお酒の会「一酒繚乱」

 コロナ明け満を持して開催の「一酒繚乱」、一種類のお酒をコース料理に合わせ千変万化させる?実験的なイベントです。

 今年は四季を通じて開催したいと、晩春?初夏?の会となります。


 今回使うお酒は「HARUGOKORO 10×60特別純米酒」(西出酒造・石川県)です。

 蔵の酒「春心」をフューチャーした現代の酒「HARUGOKORO」。地元のお米、蔵付き酵母を使うこだわりは変えず、あえて低アルコール(15度)に抑えた作りをした、アナザーシリーズです。

 青いラベルのこちらは蔵付き10号酵母、精米歩合60%の特別純米酒です。


 横浜高島屋で仕入れたもの(2021年もの)と、蔵から取り寄せたもの(2022年もの)が偶然そろいました。この二つでもはっきり違いがありました(2021年は開栓して二か月経ってます)。


 料理はこんな感じでした。


 まずはノーマルの状態を確認。 

基準温度→常温、その後美味しいと思われる68℃燗(2022)。


 さっそく料理に合わせていきます。

先付(ふぐの子クリームチーズ和え・甘エビ酒盗・イワシ筒煮)

①65℃ → 68℃燗冷ましブレンド(1割) → 66℃再上げ

②2021磁器徳利66℃

 先付の写真がなくてごめんなさい、これがまた強烈に美味しかったらしく!本当は①のお酒のみで味わってもらうはずが、なくなってしまったので②を追加しました。

 「ふぐの子」とは、石川県名産「フグの子糠漬け」のことです。あとで鯖のへしこも出てきますが、フグの卵巣を三年糠漬けにして熟成させ、毒素を抜く調理法です。

 つまみに程よい塩気と風味がクリームチーズとマッチし、これがお酒に合う!そしてイワシの梅煮!旬のイワシを胴切りにして梅干しと煮たものですが、コク・苦味・酸味がHARUGOKOROブルーにピッタリでした。


 先付けだけで30分ぐらい楽しんでしまい・・・まだこれからが本番ですよ!と一同大笑いでした。


八寸(じゅんさいキウイ酢・酢取みょうが・カニ真丈・カステラ玉子・トマト生ハム巻き・バイ貝酒蒸し・あやめ芋・伊賀牛)

③60℃ → 元酒足し → 55℃再上げ

④2022 9:1 2021ブレンド(常温)

 ようやく八寸に・・・「きれーい!」という声が・・・そう、だからもっと早く出したかったのよ?と。

 ②の酒で合わせる予定が③と④を作る羽目に。この時点ですでに「お酒足りるのか?」問題が・・・

 だってお燗つけるあいだに「常温でいいからくれ!」と要求が絶えず!HARUGOKOROマジックにやられる人が多数ありでした。飲みやすいんですよねー!

 でもやっぱり滝川さんがつけてくれる燗で食べると「おいしい。」この人雇えば料理いらないな(先付けみたいなつまみだけでお酒が売れるだろうな)と、邪な考えが浮かびました。


 ③はほどよい酸味が出てカステラ玉子や真丈のようなものとマッチ。④はまろやかな仕上がりとなり、これもどのつみまともマッチしていたようです。


・刺身(どんちっち鯵トマト酢ジュレ)

⑤常温→シソの葉一枚ちぎり入れ→10℃

 お刺身は旬のアジに、さっぱりひんやり食べさせる効果のある、トマト酢ジュレがけとしました。塩もみキュウリを添え、隠し味にしょうがのしぼり汁をかけてあります。

 ここに何を持ってくるのかと思ったら、タンブラーにちぎった大葉を入れて氷水にあてかき混ぜ・・・モヒート?のような爽やかな日本酒カクテルに!

 魚にもトマトにも大葉は合いますから、さらに清涼感が増し美味しいのなんの!

 店長的にはこの組み合わせが今回のベストマッチングでした。


 これは真似します。この組み合わせで食べたい方、どうぞお店へいらしてください!

 ちなみに「どんちっち」とは、島根県のブランド鯵です。肉厚で濃厚な脂が特徴でこの料理が引き立ちました。


・焼物(若鮎塩焼・鳥けんちん・ドライトマト赤ワイン煮)

⑥70℃燗(フラスコ燗)

⑦68℃→元酒足し→62℃

 走りのアユです。若鮎と言っていい小ぶりなもので、まだ脂もそこまで乗っていません。鮎本来の風味とワタの苦味を味わう初物として価値があります。

 苦味の出た70℃燗とアユのワタがいい塩梅で、お酒だけなら好みでない味でしたが、アユと一緒だとべらぼうに美味しいと、皆さん驚いていました。

 こちらは伊賀牛のような脂のあるお肉にも合いました。


・煮物(加賀太きゅうり・ナス・新玉ねぎ・ベビーコーン・カボチャの炊き合わせ)

⑧磁器徳利48℃燗

 煮物の出汁感とふんわりつけた48℃燗が優しい印象。「美人女将がつけた燗だと想像して!」と笑いが起きていました。


〆(サバへしこピザトースト)

→大和可楽(コーラ)シロップ数滴ブレンド

⑨常温

⑩58℃

 ピザの写真忘れました、すみません。

 鯖へしこ、ピザに合うーーー‼

 トマトソース、チーズ、オリーブオイルとの相性が抜群で、アンチョビとも違う旨味と風味がとても美味しいピザになりました。

 ここに!奈良で買ってきた「大和可楽」を落としたお酒を!

 漢方薬になる薬草を育てる野草園が多い奈良県南部。宇陀に遊びに行きこちらのコーラシロップを買ってきたのですが、さすが薬草がふんだんにブレンドされており、独特の風味となっていました。

 これを当日「使ってみてください」と滝川さんに渡し・・・「おーこれは面白い!」と合わせてくれました。

 ⑨の常温は意外にもコーラとお酒がまちまちな味となり微妙でしたが、⑩の燗はまろやかに馴染み、これはこれで美味しいという仕上がりになりました。

 これ、HARUGOKOROだからできたんだと思います。普通シロップ系は蒸留酒に合わせるものですが、HARUGOKOROは優しいながらもお酒としての自我がはっきりしているので、こんな組み合わせにも耐えられたんだと思います。


 深いです、HARUGOKORO!


デザート(おぼろ豆腐レモンソース)

⑪麹甘酒(三割)ブレンド→59℃

 デザートじゃないものを無理やりデザートにする店長の悪いクセ?こちら石川県白山に伝わる「堅豆腐」のお店の豆乳入りおぼろ豆腐に、レモンカードを豆乳でのばしたソースがかかっています。

 これがわりと・・・美味しい。デザートだ、と好評。ここに八海山の麴甘酒を入れた無理やり甘酒を合わせました。

 無理無理同士、いいマッチング!まろやか甘酒でほんわか満足感とともに終了しました。


 春心どうかなぁと思っていましたが、そんな心配なんてどこへやら、これほど素晴らしいマッチング、そして幅広い対応力を見せるとはと、改めて感服しました。

 西出酒造の酒としての主体性、このはっきりした自我が温度の上げ下げやトッピングで変化する風味に負けず、「甘くなったけど」、「苦くなったけど」、「辛みが出たけど」HARUGOKOROブルー、という楽しい結果になったんだと思います。


 ほんっとお酒って面白い!!日本酒万歳ですね!


西出酒造HP https://nishidesake.com/

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